理事長メッセージ
はじめに
一般社団法人徳島青年会議所は1957年に設立し、高度経済成長の昭和、そして情報化、グローバル化の平成という2つの時代の徳島を、40歳までの青年達の英知と勇気と情熱をもって全力で支え、その発展に寄与してまいりました。その63年という長きに渡る歴史 を守り、紡いでこられた先輩諸氏の皆様には心よりの感謝を申し上げます。
昨年迎えた令和という新しい時代が待ち受けている徳島は、人口問題、超高齢化社会、自然災害、環境問題、情報格差や社会保障など問題を並べるときりがありませんが、さらにはそれら諸問題の加速化が深刻であります。しかし、どんな困難な時代を迎えたとしても青年の力強い歩みが前向きな変革を生み出すということをはっきりと示し、明るい豊かな社会の実現のために地域を牽引していかなければなりません。それこそが組織や理念、また 手法をフレキシブルに変化させながらも、私たちが守り抜かなければならない青年会議所の存在意義であります。そして、様々な運動を展開し研鑽を積み重ねる中で、メンバーの一人ひとりが能動的に社会問題に対し行動を起こせる人間になることが理事長の職をお預かりする私自身の使命であり、そのために覚悟を持って全力で取り組んでまいります。
徳島で生きる若者を増やす ~オール徳島で魅せる大人の背中~
徳島市の抱える課題の大きな柱が人口減少と少子高齢化です。これら2つの課題は2005年以降、出生数を死亡数が上回り続けているという自然減の時代に突入したこと、そして1999年以降徳島市への転入数を転出数が上回り続けており、その社会減においては 大学進学、就職時期の若者世代において顕著に表れているのが実状です。
子供が増えず、高齢者が増え、そして若者が離れていく。これが徳島市における明確で継続的な課題であり、それは青年会議所においても目を背けてはならない最重要課題であります。そして青年会議所のメンバーも、経営また所属する企業・団体はもとより、地域の企業と協力し合い、「若者の結婚・出産・子育ての希望を叶え出生率を向上させるとともに、地域経済を活性化し、安定した雇用環境を創出することで、若年層における大都市圏への人口流出に歯止めをかける」という徳島市の人口ビジョンとまったく同じ方向を向いて尽力 すべきだと考えております。
そのためには企業、教育機関、そして行政、また様々な団体が連携をし、徳島の若者達に徳島の大人、徳島の企業の背中をしっかりと魅せる必要があると同時に、未来を担う若者達とワークライフインテグレーションなどの新しい価値観を共有し、大小問わず様々な企業 の雇用を促進させることで、徳島で生きる若者を増やす必要があります。
2020年度、徳島青年会議所は徳島の活性化、人口流出の軽減に向け、徳島における雇
用を促進させ、またこれらの課題を継続的に解決できるフレームワークの構築に全力で取り組んでまいります。
徳島デモクラシーの活性化 ~市民が描く徳島の未来ビジョン~
これまでも青年会議所は選挙における立候補者の政策とビジョンを広く発信し、政策本位の政治選択を推進するための公開討論会や、未来の有権者である子供たちに対して政治や選挙の仕組み、また有権者の責任や役割を教え、政治参画意識を向上させるための政治教育など、地域社会を形成する政治とそこに住む市民の皆様に対して、あくまで中立の立場を守りながら、より良い社会を目指した運動を展開してまいりました。近年の政治に関する流れを見ますと、2015年6月に選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が成立し、また徳島県と高知県には選挙区を統合する「合区」が導入されるなど様々な変化がある中、先の参議院議員選挙では徳島県において38.59%と過去最低の投票率となりました。若者の選挙離れによるシルバーデモクラシー化が叫ばれて久しい昨今ですが、現在の情勢を見る限り、若者だけではなく市民の多くが政治に対して距離を置き始めてい るようにも感じられます。
徳島の未来にとって今一番必要なことは、多くの市民一人ひとりが徳島の未来ビジョンをしっかりと考える機会を創ること、そして立候補者と有権者が双方向に意見を交わし合い理想的なビジョンの実現に近づけることです。また、政治に無関心だと叫ばれ続けている若者たちにもその輪の中に参画してもらうことで、少しずつ責任世代へと育てていく責任 が私たちにはあります。
徳島青年会議所として、徳島市市長選挙が行なわれる本年、徳島のより良い未来ビジョン を描けるよう、市民の皆様の政治参画を推進する事業を広く展開してまいります。
人財育成と会員拡大 ~自分を変える、そして自分が変える~
まちはひとが創るものであり、そのまちの人びとの意識を変え、牽引していくことが青年会議所の役割であります。そして、徳島青年会議所こそ63年の長きに渡り、修練・奉仕・友情の三信条のもと地域の人びとを牽引するリーダーを輩出してきた「青年最後の学び舎」 であります。
現在、青年会議所にはメンバーの成長のための4つの機会が存在しています。一つ目は様々な研修プログラムや地域活動を通して指導力・人間力を向上させることのできる個人の機会。二つ目は様々な地域課題と向き合い、行政、各種団体、教育機関の皆様と関わりながら、社会開発・まちづくりを行なう地域の機会。三つ目は国際青年会議所の一員として、世界中の青年会議所との国際交流・国際貢献を行う国際の機会。最後に、日本全国、世界各国の志あるメンバーと出会い、経済活動、経営開発を行なうビジネスの機会が2018年に日本青年会議所の活動概念として採択されました。また、日本青年会議所は国際連合広報局と提携するNGOとして、SDGsに関する世界的な取り組みなど、最先端の情報を学ぶことができるのも大きな機会の一つといえます。そして、このような機会は青年会議所のメン バーであれば誰でも得ることのできるよう常に用意されています。
ただし、その機会を掴み自己研鑽を積むことも、その機会を見過ごすことも、メンバー一人ひとりの意識と能動的な一歩次第であります。徳島という地域の様々な現場においては、まだまだ多くのリーダーが必要であると感じています。近年、徳島青年会議所はメンバーが増え続けており、そのメンバーの年齢、性別、職種、思想は様々です。そんな多様なメンバーから組織される青年会議所だからこそ、多くの学びがあり、新しい価値観も生まれます。地域の様々な現場で活躍できるリーダーを一人でも多く輩出するために、本年もさらなる 会員拡大に取り組んでまいります。
自分自身や家族のために、自身の 所属する企業や社員のために、そし て何より未来の輝ける徳島を子供たちが笑顔で過ごせるように、是非共に一歩を踏み出しましょう。その能動的な一歩を踏み出すことのできるメンバーの人間力溢れるリーダーシップこそが徳島の地域 社会を牽引する力になると私は信じています。
組織としてのあり方 ~多くの人とつながり、力を合わせる~
徳島青年会議所は、これまでも徳島市に拠点を置く県都LOMとして地域を牽引して参りました。徳島ブロック協議会や四国地区協議会、日本青年会議所に様々なメンバーを輩出し、多くの友情を育み、学びを得ることで徳島青年会議所自体の成長につながったことを実感しております。私自身もこれまでに数多くの出向を経験させて頂く中で、様々な 地域の課題やその地域性、メンバーの人柄に触れ、自分自身の視野を広げることができました。このような活動ができるのもこれまで長年に渡り、諸先輩の皆様が築いてこられた功績のお陰であり、またスポンサーJC、友好JCをはじめとする各地青年会議所の皆様のご厚誼の賜 物であります。
また、行政、企業、教育機関や各種団体の皆様ともこれまでの様々な事業や交流を通してつながり、連携を深めて参ります。にし阿波の花火、阿波踊り実行委員会、市内三大学連携協定、AWAODORI CAMP、徳島スポーツフェスティバル、徳島eスポーツ協会設 立など皆様との協働は現在も続いております。
私たち徳島青年会議所は、120名を超える多様なメンバーから成り、その多くのメンバーの発想力と実行力、そして情熱が最大の魅力であります。本年も徳島市はもとより様々なフィールドにおいて、その魅力を最大限活かし、多くの皆様と協力し合いながら、JCプラ イドを持って更なる運動に邁進する所存です。
結びに
私は九州の長崎で新聞記者の長男として生まれました。幼少期は父親の仕事で九州の様々な地を転々とし、18歳の時に 進学のため単身徳島に渡り、現在はこの徳島で生業を営み、所帯を持つことができました。いわゆる県外から移住してきた人間ではありますが、それでも人生の半分以上をこの徳島で暮らし、多くの人と出会い、阿波踊りも少しずつ板についてきました。そんな私にとっても徳島は大切な場所です。そして今、私が徳島に対して危惧していること、それは私たちの子供たちが生きていく徳島の未来であります。
令和という時代の混沌とした未来を見据えるにあたり、私達はこの徳島の今を生きる一人の大人として、どうあるべきか。この地域社会に属する一人の青年として、何を成すべきかということを真剣に考え行動しなければなりません。
それが「この街の未来に責任を持つ」ということだと考えています。徳島の今を生きる大人一人ひとりが責任感を持って、未来ビジョンを描き、力を合わせて行動すれば、きっと明るい豊かな徳島を子供たちに手渡すことができると信じています。
志を持った仲間達とともに徳島青年会議所がその先端を走るリーダーとなれるよう、理事長として精一杯邁進してまいりますので、何卒ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。