理事長メッセージ
はじめに
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続き、生活は大きく様変わりしました。自宅時間の増加や、それに伴うオンライン購買の加速、キャッシュレス化の加速などの行動変化、さらに働き方への考え方の変化や、健康への関心の高まりなどの意識変化は、いずれも多様化しています。当たり前だと思われてきた常識が大きく変わり、新しい生活様式や従来にないビジネス、これまで気づかなかった新しい価値観が生まれ続けています。
多様化し、新しい価値観が増えることによって違いが生まれていきます。例えば、テレワークをするかどうか、ワクチンを打つかどうかでも意見や状況は様々であり、それらを統一することはできませんし、そのような違いがあることは悪いことではありません。個性が認められ、様々な価値観がいきる多様化した社会では異なる意見や価値観を受け入れる必要があります。
異なる意見や価値観を受け入れるということは、これまで通じた常識や行動が受け入れられなくなることがあります。コンピュータの世界において、ソフトウェアの内容をより新しいものに変更することをアップデートと言い、このアップデートの中には機能の追加や改良だけでなく不具合の修正や環境に合わせることも含まれています。社会においても大きく進展させることだけでなく違いを受け入れ、適応させていく作業こそが必要なのではないでしょうか。
日常生活や経済活動において大きな制限や負の影響が大きい反面、公衆衛生が大きく向上したことから2020年の国内の死亡数は前年より約9千人減少したことや、ICTの利活用が大きく前進され様々な生活の向上が起きるなど、良い方向に変化したものもあります。悲観的な考え方の中には前向きな思考は生まれてきません。我々青年経済人がしっかりと前を向いて、力を合わせて壁を打ち破っていく気概が今こそ必要な時なのです。
創立60周年の際に策定した中長期計画『笑顔おどる「粋」な、まち! ~明るいとくしまの実現~』の中に、「徳島青年会議所ここにあり!!」という言葉があります。何かに特化した団体は多くありますが、広い視野から社会課題の核心にアプローチしようとする青年組織であることが青年会議所の特徴です。そして、メンバー一人ひとりが社会へ無条件で奉仕し、成長し、関わる人々とパートナーシップを結ぶことでより大きな運動に発展させてきました。良い伝統は継承しながらも、これまでの形式に縛られることなく、時代の変化ともに新しい可能性へ果敢にチャレンジしていくことで、地域に愛され、頼られる団体となります。そのような姿を発信し、未来に向けて発進したとき「徳島青年会議所ここにあり!!」と胸を張って言えるのではないでしょうか。
感謝を伝える65周年
徳島青年会議所は1957年に、全国で123番目のLOMとして誕生しました。
この65年間、先輩諸氏は創立当初からの創始の精神に基づき、徳島を愛し徳島のために議論を交わし、様々な事業や政策について多くの実績を残してこられました。その実績に敬意を表するとともに、想いを継承していく必要があります。
また、支えてくれた地域に関係する市民の皆様に感謝を伝え、特に年代を同じくする青年に対し未来への希望をもっていただける記念事業を実施します。
記念式典においては、行政、企業をはじめとする関係諸団体の皆様、各地青年会議所、公益社団法人日本青年会議所をはじめとする同志の皆様、シニアクラブメンバーの皆様とのこれまで培ってきた繋がりを継続・発展させる機会となります。
65周年を迎えるにあたり、これまで紡いだ歴史を発信すること、そして一人ひとりが更なる成長の機会として前向きに地域のために活動、運動を行っていきます。次の70周年、100周年へと徳島青年会議所が永続発展できるようメンバーが一丸となり、強固なパートナーシップを築いていきます。
60周年で策定した中長期計画のアップデート
創立60周年の際に策定した中長期計画は、この5年間の事業や組織の運営を行う上での柱となっていました。しかしながら、5年という短い間にもSDGsの浸透、新型コロナウイルス感染症の影響など、様々な変化がありました。社会情勢の変化に合わせて中長期計画をアップデートしていく必要があります。
いま、在籍しているメンバーは、次の5年間の組織の中核となり理事長をはじめとする理事メンバーになる人財です。そのメンバーが組織の在り方と地域の課題について学び、今後どうあるべきかについて議論を尽くすことによって、組織の方向性が明確化され中長期計画がアップデートされます。
不連続の連続である青年会議所という組織において、このようにして策定された中長期計画は年度と年度をつなぐ大事な柱になることは間違いありません。そして、それは行政や企業をはじめとする他団体と方向性を合わせることに繋がり、発展的なパートナーシップを築いていくことができます。
地域をつなぐ事業
新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の事態において、この2年間、地域の祭り、イベントは縮小傾向となりました。そのような中でも、地域の様々な団体ができることを探し、感染対策に配慮した活動を行っています。徳島青年会議所においても、様々な検討や議論を重ね、挑戦してきました。
活発な地域をつくるにあたって、地域がもっている資産が活用されていることが何より大事であり、地域の資産とは人でありモノや歴史です。一見して、空き家や空き地は悪いものに見られますが、視点を変えれば資産ともなります。必要とされているにもかかわらず、活かされていない資産に目を向け、活性させることで地域の活性化に繋げます。
かつては、徳島宝舟、徳島TV祭、吉野川フィスティバル等の事業を行い、近年では今も継続される数々の事業や日本青年会議所からも大きく評価される事業を実施し、事業は徳島青年会議所における誇りとなりました。これも先輩諸氏の残してくれた宝であり、これらの事業を構築するにあたり協力していただいた関係諸団体の皆様のおかげです。協力していただいた関係諸団体とのパートナーシップは今後の事業においても大きな力となり、単独では難しい事業でもパートナーシップを活かして社会をよくする事業を実施することは可能です。地域への愛をもって、まちには今、何が必要とされているのかを考え、笑顔おどる「粋」な「まち」にしていかなければなりません。
多様性を受け入れる組織のあり方
子育て中のメンバーも多く所属し、家庭、仕事などの状況は様々です。どのような状況のなかでも活躍できる組織を目指し、2021年度に育LOM宣言をしました。宣言の前から、徳島青年会議所ではZoom会議の定着などスマート会議の促進やハイブリッドによる例会、家族が参加可能な例会を行ってきました。これからも、試行錯誤を重ね、より出席しやすい環境を目指し更なるアップデートを図ります。
また、本年度は徳島ブロック協議会に会長を輩出いたします。青年会議所は徳島青年会議所以外にも全国に存在し、それぞれが活動エリアをもち個々の組織として活動しています。活動エリアの抱える課題、伝統や文化は様々ですが、同じ青年会議所として地域の発展のため、日々、活動しています。徳島ブロック協議会は徳島県内にある7つの青年会議所のメンバーが集い、議論し、力を合わせることで県域の課題を解決するための組織です。徳島ブロック協議会に会長をはじめとするメンバーを輩出し、ともに歩むことによって、多様な価値観を学び、視野を広げ県域の課題にも目を向けていきます。
未来を見据えたJAYCEEの育成
組織を持続可能とするためには単年の人数を増やすことだけではなく、5年後10年後を見据えた会員拡大が必要です。所属する組織やそこでの立場、性別に関わらず、夢や情熱を持ち、志を同じく活動をともにできる人財こそが求められています。そのような人財を同志に迎え、共に歩むことで、損得だけで物事を考えず、人を愛し、人のために無条件に奉仕できるような人財に成長し、青年会議所は人をつくる組織となります。
青年会議所で大きく成長できるのは役職を経験することであり、ここ数年では現職の理事、または理事経験をもつメンバーが機首会員の半分を超えることとなりました。また、青年会議所のもつ出向という機会の提供を受け、徳島県、四国、全国で学び、大きく成長するメンバーも増えてきました。この流れを絶やすことなく、今後も多くのメンバーが経験を積めるよう取り組みます。
結びに
今、我々の持つ最も大きな苦難は新型コロナウイルス感染症拡大による影響であることは間違いありません。しかしながら、どの時代にも苦難はあり、それを乗り越えてきたのはその時代の青年が力を尽くしてきた結果です。どのような苦難の中でも希望を失わず前進し、次代により良いものを引き継いでいくことが我々の責務です。
青年会議所活動・運動に携わる中で、活動時期をともにしなかった先輩諸氏とも交流を持つことがあります。その中で気付かされることは、青年会議所で築いた絆は強固で永遠であり、そのような絆こそが青年会議所の力になっているということです。そして、多くの先輩諸氏がJCで得たものはJC内で消化するものではなく、卒業後も社会に良い影響を与えるために活用されています。
我々もこの一年で多くの絆を造り、成長し、将来の徳島の礎にしていこうではありませんか。